「リング」

ハリウッド版「ザ・リング」が意外とおもしろかった。原作の「リング三部作」のファンなのでいちおうのチェックというだけの意味で見て、きっと途中で退屈してやめるだろうと思っていたら、場面場面でそれなりにひきつけられながら最後まで見続けた。もちろん大傑作だとはまったく思わなかったけれども。
それにしても「サマラ」は全然怖くなかったなぁ。日本版の映画「リング」は文句が多々あれど「貞子」だけは怖いと思って、その怖さの表現については一級品だと認めたんだけど。
「リング」に関してはわたしは原作にとても愛着があり、あれの良さはディテールが論理的に積み上げられた先に現れる恐怖の表現であり、あの作品で怖いのは貞子の呪いなんかじゃなくて最後に主人公がとった行動に尽きると思っているので(それと主人公とのロマンスは決してありえない高山の変人キャラクターが気に入っている)、映画を見たときは「解釈を間違っとる!」と怒ったんだけど、それでも冒頭の女の子の死に顔やラストでテレビから出て来る貞子の姿(動き)など、ところどころのカットに強い恐怖心を煽られてしばらく怖かったりしたし、呪いのビデオの映像もすごいなと思ったので、この監督はこういう表現がうまい人なんだなぁとその点では認めつつ、でも間違っとる!としつこく思い、せっかくの「リング」でこれをやらんでもええやんか、とその後の貞子ブーム(?)を苦々しく見ていた、けど、それも無理が無いほど貞子は怖かったと思った点、ハリウッド版は似ているけど、まったく怖くも禍々しくもなく、そこらへんはセンスの違いかなと思ったわけでありました。