観世流 初心者入門教室 受講記

2月から3月にかけて、観世能楽堂で行われる初心者向けの謡と舞のお稽古に参加してみた。前出の能楽堂でのイベントのときに、ちらしを見て知り、能楽堂の二階の舞台(練習用)でお稽古できるというところにひかれて、思い切って申し込んでみた。
といいつつ行く前は、いきなり参加してついていけるものなのか不安で(何しろ、能についての体験も知識もほとんどない上に、生来、異様に硬い体を持つ身なので、身体を使うことについても不安が・・・)担当者の方にメールで何度も問い合わせたりしたが、そのつど丁寧なお返事を頂き、最終的には「当日は、足袋さえお持ち戴ければ何も問題ありません」との言葉に励まされ、参加を決めたのであった。
結果的には初めの不安はまったくあたらず、初日からとても楽しく有意義な時間を過ごすことができた。
この教室は、まさにわたしのような人が「体験」することを主な目的といて行われているのだと思う。だから厳しいことはいっさい言われない。
といっても内容が薄いわけではなく、押えるべきところはきちんと伝えようとされており、濃密な時間を味わえる。随所随所の先生のコメントが的確でわかりやすく、こぼれ話もおもしろい(ただ、先生によるとのお話も聞きました。わたしが参加した教室は和やかな雰囲気だったらしいので、体験といえども厳しくされる先生もいらっしゃるのかも)
また、何といっても、能楽師の方の謡を、音で身が震えるほどの間近で聞くことが出来るというのがすばらしい。
わたしは初日に先生のお手本の声の第一声が響いた瞬間に「ああーこれだけで来た甲斐があったわー」とうっとりとしました。
結局、毎回、家でのおさらいなどはほとんどせずにぶっつけ本番でのお稽古の時間になったけれども、見よう見まねで舞台の檜の板の上を摺り足摺り足しているだけで、何かしらの気分が上がってくるのを体験した。
また、謡に関しては、未熟ながらも、腹から声を出すことを意識しながら思い切り声を出していると、自分が何かが通り抜けていく道になっているような気が・・・。錯覚かもしれないが、自分の体験として味わうことができて興味深かった。熟練しなくてもこれを味わうことができるのはそれだけ強力な型なのだなぁと思った。
楽しい二ヶ月間でした。
今後ずっと続けるときっといろんな発見がありそうだなぁと思うが、体験入門の次の段階の団体のお稽古はないそうで、いきなり個人のお稽古はちょっとためらう・・・のと、四月からは別口で新しいことを始めることにしたので、とりあえず続けるのは保留中。
でも、自分に合った身体作法のひとつの候補として、考えてみたいと思うのでありました。