「家守綺譚」

本は文字を読めたらよいので文庫本があれば文庫本を、現在無くともそのうち文庫落ちするだろう作品はそれまで待って買うのが流儀なんだけど、この本は装丁があまりにうつくしかったので買ってしまった。
そして毎日、もったいないので少しずつ読み進めながらちりちりと嫉妬の炎に焼かれるオコガマシイ日々を過ごしたのであった〜マル
何をチリチリしとったかというと「なんでこの話を書いたのはわたしではないのだ??」ということです。タイヘンにオコガマシイです。それほどにこのお話はわたしの理想とする中身と形をもってわたしの前に現れたということです。
現実と彼方が接して全てが等しく均されて在る。わたしがいちばん心を惹かれる状態です。それを削ぎ落とされたギリギリの表現でしかし饒舌に、うつくしく形にしている。ときに少々エロティックにそしておかしみもあり。作品の形も理想なら、そこに描かれる主人公の生活も理想(だって家守で物書きですよ!)で、あまりにピッタリとハマりすぎてむしろ居心地が悪くなり「この作品が好きです」なんて言えなくなるくらいにわたしにとって隙のない作品でありました。
とにかく!わたしは昔から馬と結婚するとか嫉妬に狂って蛇になるとか仏像が夜這いにくるとかそういう話好きなんですよう。それがこんなに静かで綺麗な形になってやって来るなんてってことなのです。
(すでに、感想というよりは心の叫びになっております)