「カンフーハッスル」

楽しかった!! 冒頭からノリよくハチャメチャしかしその場面が何なのかがものすごくわかりやすい。あんまりわかり易かったのでまずそのことに感心したりした。ちょーっと下ネタ(しかもエロじゃない方)が目立つので、わたし自身は「おバカな香港映画だなぁ」ですむというかむしろ懐かしくて楽しいんだけど、ここで引く観客もいるんだろうなといらんことを考えたりなど。でもそれをクリア出来たら、いや出来なくても観ると楽しいよ!と言いたい。しかしああいうのはイヤな人はイヤなんだろうなと妙に遠慮した気分になったりするのだった。わたしは80年代後半に香港映画にはまっていた時期があり、この作品がその頃に観た作品の雰囲気にとても似ていたので、それだけで興奮した。
話がわかりやすいといっても物語を追って説明するというのではなくて、場面場面の画で見せてのせていく感じは芸術的だった。ギャング団が街を席巻する様子を組員がスーツ姿で組のシンボルの斧を持って踊る姿で音楽にのせて現しているシーンなんか印象的で、ずっと見ていたくなった。
そして肝心のカンフーアクションですが、これはすごいよ。往年の達人ばかりが出ているというだけあって戦いが始まるとそれを見るだけで楽しいよ! ワイヤーアクションも多用されるけど体の動きが決まっているのでことのほか美しい。特に棒を使ったカンフーが綺麗だったー(五郎八卦こん−字が出ません−というらしい)。取るに足らない貧乏人だと思っていたのが実は達人って設定は単純に楽しいし、しかもその設定が何重にもなっているのがそこは単純でなくて楽しい。設定といえば細かいところに伏線が引いてあったりして想像していたよりも芸が細やかだったのも楽しんだ。
もともとわたしがカンフー映画好きなので、ということはあるにしても心から楽しんだ。なんだかパッカーンと心も体も開きました状態になって、途中、なんてことはないベタな純愛の表現にダラダラダラダラ涙が流れてびっくりした。別に作品の中でもそこをより盛り上げてというわけでもなく、だからノセられたという感じではなく、でも純な感情に素直に入り込んでダラダラダラダラと。自分の感情もそんなに盛り上がっている状態ではなくただ涙が流れる。とても気持ちの良い体験だった。
それでラストがいいんですよ〜。どどーんと手形!!(観た人にはわかる) 清らかで心が洗われます。あそこに理屈がなくあれが現れるあたりが中国だなぁと。そして卑怯な武器が小さな花に変わって舞い、場面が転換して、ひねくれていた主人公が落ち着いた場所がまたいい。あの優しく小さく落ち着くところにパワフルなのに謙虚な感じが見え隠れするチャウ・シンチーの性格のいいところが現れているのだなぁと素直に思えて幸せな気分になった。
それにしても、他の観客の反応が薄くて少々淋しかったぞな…。「こ、ここは笑うところでは…??」と心の中でつっこみつつ、みんな静かなんだもの…(観客自体も少なかったけど。この入りは、もう終わりかけで都心ではなく平日だからだと思いたい)。つっこみどころといえば、いろいろとハリウッドの大作のパロディがあるらしいのですが、わたしにわかったのは「マトリックス」だけでした。でもとっても笑えたよ。スミス