京菓子を遊ぶ

NHK教育で放送中の「知るを楽しむ」水曜日11月放送分の「京菓子を遊ぶ」がとてもおもしろかった。偶然、見たのが第二回「歴史を遊ぶ」の回の途中で、安土桃山時代に砂糖菓子が南蛮貿易によってもたらされて、当時の人にとっては強烈で革命的な味覚の文化流入だったという話が、わたしが常々イメージしていたことを裏付ける情報だったので興味を持った。砂糖の甘みが麻薬的という解釈にも強く頷く。
でも、その後も甘いお菓子は上流階級の特権で、庶民が食べていたお団子などはだいたい醤油味や味噌味で甘くはなかったのではないかという話は知らなかった。時代劇の峠の茶屋で食べるお団子は塩辛いのかぁ。その他、千利休時代の茶菓子の再現も興味深い。見られなかった第一回の補充も兼ねてテキストを購入。
案内役は京菓子司「末富」三代目主人の山口富蔵さん。この人が作る京菓子がたくさん画面にあらわれるのだけれども、そのひとつひとつのうつくしいこと。形や色が綺麗なのはもちろんのこと、菓子自体がもの思い、そこから言葉が零れだしそうな存在感が在る。
伝統的な京文化の中の風景だけではなく、ハロウィーンやクリスマスといった新しい日常の風景をテーマにした創作菓子もあり、かぼちゃやツリーの形の和菓子には異文化の形と同時に伝統的な和菓子の風情も確かに見られて、そのバランス感覚に感嘆する。クラシックやジャズなど西洋音楽をモチーフにした抽象的な形の菓子も、そこにそれぞれの音を聞くことが出来る。なのに質感があんこなのだよ〜(あたりまえだけどさ)。
今度、京都に帰省したときに買いに行こっかな。東京でも新宿郄島屋には出店しているみたいなのでついでの時にはのぞいてみようと思います。