「働きマン」

安野モヨコさんの作品をけっこう昔から読んでいる。ほとんどデビューぐらいから読んでいると思う。自分が読んでいる雑誌に載れば必ず読むし、読み流すことが出来ず気持ちに残る。でも真剣に追いかけないので取りこぼしている作品もたくさんある。
彼女のパワーと物事を捉え表す的確さに強く引かれるけど、同調し共鳴する気持ちよさがどうも欠けるので、コミックスをそろえて繰り返し読もうという気には今まではならなかった。基本的に好みではないのだろうなと思う。でも人生に対する姿勢は大いに認めるところなので無視できない。
で「働きマン」。週刊モーニングを購読中なので雑誌で読みつつ、コミックスを買うつもりはまったくなかったのだけれども、先日、本屋で見本として読めるようになっていたから読み始めたら止められなくなり(このパターン、多いな…)雑誌連載は飛び飛びなので登場人物も忘れていたりするけど、実はこの人初っ端から出てたんだなぁとかあらためて発見したり、まとめて続きで読むほうがいろいろなことが有機的につながって厚みが出て、何よりもおもしろかったので、とうとう買った。
彼女の作品は読者を選ぶ作品もあると思うけど「働きマン」に関しては誰が読んでも、楽しめるし興味を持てる平均的なライン(これはわたしから安野さんへの最大の褒め言葉なのです)できちんとまとまっているよい作品なので、誰にでもお薦めしたくなる。
あふれるパワーが暗い方面で爆発しそうなところを良しとせず、前へ前へ進んでいくことで逸脱せずに保つことに全精力をかけるというのがわたしのこの人に対する印象だったんだけど、そういう人がこういう常識的な作品をきちんと書くことが出来るようになるという事実にまた感動したりするのであった(エラソウ)。