「NANA」

わたくしごとながら、映画館に行ったの半年振りだよ…。つまり田舎に引っ越してきてから初めてなわけです。行くチャンスがなかったわけではないけど、やはり気楽に行かれないとなると他の用事が優先されてなかなか足が向かないのであった。久しぶりにスクリーンで映画を観るのは気持ちがよく、これから何とか時間を作って行きたいものだと思った次第でした。
サテ。「NANA」ですが。あのビジュアルがたいへんに大事な漫画を、よくぞ実写でここまで、という点に関しては(まぁ個々に異論あれこれあるにしても)よく出来た作品だと思った。でも映画としてはだいぶ退屈だった。観始めてしばらくは「帰りたい…」と思ったり。物語も佳境に入ってくると泣けるシーンもあり、周りの席の若い女の子と一緒にけっこうボロボロと涙流したりもしたし、音楽ものとして、ライヴシーンは小さい会場、大きい会場ともに臨場感があり、これはスクリーンで観る甲斐があったので、観に来て損した、とは思わなかったけれども、人に薦めるほど感動したかといわれると「・・・・・・」と無言になる。まー原作のファンであったりああいったファッションに興味がある人は観て損はないよとお薦めするけど、そうでない人にはそれでも感動するから観て〜とは言えない。
全体の感想はそんな感じで、以下、「個々に異論あれこれ」など(ダラダラと個人的な感想を書き連ねています。しかも漫画も映画も観ていない人は置き去りです)
主人公のふたりはいい感じで実写で再現されていたな〜と感心。ここがなんとか保っているからこそこの映画が見るに耐えるものになっていると思うわけですが。特にナナの中島美嘉さんは衣装と髪型が良く似合って首から肩にかけてのラインとか全体のフォルムとか「ナナだな〜」とドキドキしながら見た。「蓮」の刺青もピッタリとはまっていたし。時々内股になるのがちょっと気になったけど、どうなんだろう。意外と漫画のナナもそこらへんは女の子っぽかったりしてそういうギャップがかわいいとなるのか? でもわたしはナナは態度は男だと思っているので…。
あと彼女について個人的に大きく気に入らなかったのは。わたしのイメージではあれでは高すぎるし細すぎる。もっとハスキーで底力のある声が漫画のナナのイメージなんだけど。台詞についてもイマイチだったけど、感情がほとばしるようなシーンでの演技は泣きを誘った。
奈々の宮崎あおいさんもあの漫画のすっとんきょうな奈々を上手に演じていてかわいいなぁと思えたし、ナナと奈々の掛け合いが息がぴったりで気持ちよかったけど、ふたりとももう一歩押し出しが足らなくてスッキリ爽快とまではいかなかったのはわたしが求めすぎなのかな。
歌姫という意味ではレイラはよかった。実はこの映画を観にいこうと思った理由のひとつに彼女を見たいというのがあった。偶然Mステで見て、この子はいい〜、ぜひスクリーンで観たいと思った。この映画で抜擢された新人だそうだけど、あの歌声の力と甘い質感、タクミが宝物にする歌姫のイメージ(わたしの)にピッタリで。顔がちょっと地味かな〜と思わなくもなかったけど、スクリーンでステージに立つ彼女は華があって十二分に「レイラ」だった。あの歌声。いいな〜。ハイトーンの時ののびと、翻って、力を保ったまま少しかすれる時と、全体に生まれるバランス、保たれる水準。あの手の整った歌姫タイプはわたしは好みではないんだけど、彼女にはひと目みて惹かれた。
それにつけてもこの作品について最大のブーイングは「蓮」だ! 納得でき〜ん! あの顔を見るたびに「蓮じゃねー!」と心の中で叫んでおりました。トラネスのポスターが画面に映るたびに笑いがこみ上げてくるのを押さえられず…。世間のあの人(松田さん)に対する評価には以前から納得がいかんかったのやけど…。彼は美青年なのか? いやそもそも蓮は美青年ではないのか? それにしても何らかの強い印象はあるはずで、そういう強い印象を彼にはまったく感じないわたしが間違っているのか? 「蓮」がちゃんと「蓮」だったとしたらこの作品の力がもっと違う形でわたしにも届いたのでは?と思う。まぁそれでもポスターをみるたびに「笑い」がこみ上げてくるわたしは、この配役に「怒り」を感じるほど作品に思い入れがないのねと言うこともわかったりする。
他の配役について、ヤスはビジュアルを完璧に再現しようとした努力は認めるけど、どーも役者さんの最後の最後でかっこつけ切れないところがこちらの照れを誘うのがなんとも。それかビジュアルに関してもうちょっと鼻と口元が鋭かったら照れずにすんだかも…。でもドラムを叩いている姿は最高にかっこよかったのでプラスマイナスゼロ…?
ノブはあんなにお調子者ではないような。そしてあれではこの先の展開を背負うには微妙にズレがあるのが気になるけど、映画の中ではきれいにはまっていたとは思う。成宮クンはいろんな役をきちんとこなせて、いい役者さんだな〜(とりあえず前から顔が好き)。
シンもね、もっとひと目見て息を呑むような美少年だといいのになぁと思うけど、そんなにこだわることもないといえばない。
いちばん納得できたのは玉山鉄二さんのタクミ。台詞がほとんどなかったからボロが見えなかったってことかもしれないけどな…。ヤスだってただ立っているのを見たら完璧やと思ったかもしれんし。でもタクミの雰囲気も表してたと思ったのは贔屓目かね。
最後に。ナナが歌う主題歌はHYDEさんだったんですね。そういえばそんな話を聞いたような。映画で何度も聴いているうちに「なんだか馴染んだ感じが端々にあるなぁなんだろう」と思って最後の最後で「あ、HYDEか」ということが意識に上ってきて納得した。