「新選組!」

新選組!」の最終回を見ました。大河ドラマを一年通してみると最終回は登場人物と一緒に長い時間を回想してしみじみとした気分になります。ほぼ一時間、涙ズルズルで顔が痛くなっちゃったよ。でも、わたしが新撰組についてこんなに泣くのは変な感じです。今回はやられた〜のだった。
わたしはもともと幕末から明治維新にかけての時代にはけっこう思い入れを持っているのだけれども、断然新政府側に思い入れていたので、新撰組についてはあの主要三人(近藤、土方、沖田)のキャラクターは史実なのに物語としてなんておいしいんだ、入れ込む人がいるのは分かると思いながらも、しょせん、時代を見切れなかった(おバカな)(すみません)人たちの集まりなんでは?と思っていた。わたし、滅び行く人々の悲哀よりも多少あくどく見えても現実の入り乱れた悪も善も含んで引き受けて時代の表に立つ人の方が好きなので、新撰組よりも坂本竜馬よりも西郷隆盛が好きで、西郷隆盛よりも大久保利通が好きだったのだ。(でも桂小五郎を好きかと聞かれると微妙〜)
新選組!」がはじまる前はとても複雑な気分で予告編を見ていた。わたしは大河ドラマのファンであり、中でも、古臭い時代劇としての大河ドラマ(アナウンサーが解説を入れているようなやつ)を他では見られないものとしてこの枠には期待していたので、三谷幸喜脚本だから大河としては異色ってことになってそれがまた受けたりするんかなぁという悔しさがあったり、三谷さんに対しても、好きなんだけど時々嫌い、という複雑な思いがあるので素直になれなかったり(その上、きっとコアなファンならわかるというようなことがあろうことか大河で行われて、それをわたしはふっと笑って楽しんだりできないんだと思うとますます悔しいし)、そして題材も新撰組だからきっと維新側は悪く言われるんだろうなぁなどなど。
でも大河ドラマは初回は必ず、よっぽどでなければ第二回までは見るのが年初の恒例なのでとりあえず見た。ら、そのまま一年間見てしまった。はじめのうちはそれでも、複雑な気分のまま、その上、わたしって新撰組のことをほんとに何にも知らないことを改めて知って(隊士の名前も主要3人以外ほとんど知らなかったし、それに、無法者のイメージがあったんだけど、ちゃんと京都を守ってはったんやなぁとか。御所を焼き討ちって、長州、いくらなんでもそれはムチャやろう、とかそんなことも実はよく知りませんでした)、それを正統派ドラマや小説ではなく(時代小説、歴史小説ファンといいながら、「燃えよ剣」も読んでないよ、わたし)三谷脚本で知るのもなんだか悔しいような、でもそのうちやめられなくなって、いつしか毎週とっても楽しみに見ている自分がいたのだった。夏前くらいからは完全に降参してました。
よいドラマでしたね、ハイ。世界が完璧にそのように出来上がってました。キャストもよかったですね。イメージがどうのを超えて、この作品のこの世界にはこの人であるときちんとはまっていた。役者も作品の世界にいい感じではまり込んでいるなぁという熱を感じた。女性陣は特に綺麗どころ(深雪太夫とか幾松とか)があれはどうかと思いもしましたが、それも最後にはまぁええか、と思うほどにわたしはあの作品の世界に入り込んでいました。せっかく現在東京に住んでいて実家が京都なのだからせっせと縁の地巡りでもしようかなぁと思う今日この頃であった。(三十年京都に住んでいたけど、実は壬生寺坂本竜馬の墓も行ったことないよ。霊山寺はふもとはよく歩いてたけど)

そして来年は「義経」かぁ。滅び行く美の人が続きますね。そういえば義経は昔とても好きだったのを思い出した。(ちっちゃい頃だったので「わたしってこんなに彼に惹かれるのは静御前の生まれ変わりかもとかかわいらしくもサムイことを考えてた記憶が…)でも、今は頼朝のほうが好きかなぁ。義経はわーっと駆け抜けた感じがいいと思うけど、やはりおバカな人という思いが消せません。来年も一年間見続けられるといいなと思います。