いすみ鉄道の旅(但し車で)

最近、夫婦ではまっている漫画があります。コレ→(「鉄子の旅」)
わたしの夫は「鉄」になる資質全くナシだと思うけど、この漫画は面白かったらしい。そして彼は思い立ったらとことん行動の人で、その上、今住んでいる房総半島は「秘境駅」の宝庫と来まして、行き当たりばったりローカル線の駅を車で訪ねる旅が実現したのでありました。「車で訪ねる」ってあたりが、すでにこの漫画の趣旨と著しく外れているわけなんですが…。
いつも思いつきで出かけるので、本日も午後だいぶ過ぎてから出発。車でいすみ鉄道久我原駅を目指す。いすみ鉄道は外房の太平洋岸にある大原駅から内陸部へ向かって、途中、上総中野駅で別のローカル線小港鉄道に接続している線です。久我原駅自体は「鉄子の旅」には出てこないのだけれども、なぜここを目指すことになったかというと、それはこの漫画から派生してネットで知った「秘境駅へ行こう」*1でここがいちばん近い秘境駅だったからであります。
「列車が通る時間に行って写真をとるのじゃー」という夫の希望のもと、ローカル線ゆえに時間との戦いとなり、ぐねぐねの山道をフルスピードで飛ばして、わたしは気分が悪くなってしまいました(だったらもっと計画性を持って行けばいいではないかーとのわたしの叫びは、言ってもムダなので心の中でのみ)。
やーしかし。行った甲斐はあったなぁ。まさに秘境。メインの道から入った細い道をさらに山の中へ入りこんだ先に、その駅はあった。
むき出しの線路。小さな駅舎。もちろん人影はなし。細い道をだいぶ入ったので、山の中で、さらに別の世界のように切り取られた感じのところに、季節が季節だけに呑み込まれるような緑が迫る。鳥の声がサラウンドで響く。そしてこれも季節がちょうどよく、無数の蝶々がひ〜らひらひ〜らひら、あたり一面に舞い踊り「ここは極楽か〜??」という気分でした。
その後、沿線のいちばん大きな観光スポット大多喜へ。ここには城があり、千葉に越してきてからずっと一度訪ねてみたいとわたしは思っていた場所で(夫は城など興味がないので今まで来られなかった)、駅前は観光地としてそれなりに開けており、ちょっとした旅行気分を味わって楽しかった。でも行き当たりばったりの弊害が出て、天守閣の資料館に時間切れで入ることが叶わず。ぶつぶつ文句をいいながらご当地銘菓の「十万石最中」を買って出発。
いちおうの目的は果たしたので、あとは気ままに、沿線の駅をいちいちひとつずつ探しながら大原方面へ途中まで戻る。どれも負けず劣らず鄙びた駅ばかりだったけど、秘境として極楽のような異世界感を味わえたのは「久我原駅」がピカイチだった。
途中で再び内陸方面へ方向を変えて、いすみ鉄道の終点であり小港鉄道の終点でもある「上総中野駅」へ。駅はくっついているけれども相互乗り入れしているわけではなく、それぞれ別の線路が同じ駅にあるのが珍しい。でもよく見ると小港鉄道の線路がサビサビなので、なんでかなーと駅舎内を見回していると、この四月に大雨で上総中野と次の養老渓谷間が不通になっているとか。
ここまで来たんだし、小港鉄道の車両も見ていくかーと「養老渓谷駅」まで車で一走り。養老渓谷は車でよく通るし、たまには降りて日帰り温泉に浸かったりしている場所なので馴染みがあるけど駅は初めてでした。
その後は一路家を目指して帰っていたはずなんだけど、途中で「亀山湖こっち」の表示を見た夫が「亀山って久留里線の終点だったよなー」と言い出し、道をそれてそちらへ。山の中で迷ったりしながらもなんとか久留里線の終点「上総亀山駅」に到着。この久留里線は「鉄子の旅」の記念すべき第1旅(「久留里線全駅乗下車の旅」)の線なんですねぇー、実は*2。漫画に出てくるぽんぽこたぬきのマークも見た! 他の駅について「壁がコンクリで看板が電気になってる!もったいない!!」という叫びが出てくるけど、上総亀山もとてもきれいな駅になってました。
というわけで。図らずも行き当たりばったりの割には房総半島ローカル3線一挙網羅の旅となったのでありました。まぁ、一度も鉄道には乗らずに車で見るだけってのは邪道なんだろうけどね。それにしても車両を三種類見たけど、ひとつたりとも電線が付いているのがなかったのがなんとも。
次回はぜひとも鉄道に乗ってみたいナーとくにいすみ鉄道、と思ったことでした。そうはいっても全駅乗下車はしませんけどね。

*1:http://hp1.cyberstation.ne.jp/hikyoueki/51100.htm

*2:始まりの旅が自宅の付近てのも縁を感じたりする。てかどんな田舎に住んでるねん、というツッコミもあるが…。付近といってもとなりの市