塗りの汁椀

塗りの汁椀を欲しいとずっと思っていた。いつか漆器の産地に旅行をしたときにでも奮発していいものを買ってみようかと思っていた。が、この夏にデパートのワゴンセールの中で気に入ったものがあったのでついに買った。漆器としての良さは値段なりなんだろうけれども、わたしの好みにぴたりとはまった。毎日、みそ汁やおすましをなみなみとよそって使っている。
内側は木目を出した艶のある茶色。外側は亀甲型で黒色に赤が削りだされている。底に向かって厚くなってゆく形、全てが気持ちになじむ。手に持ったときの軽さ、唇をつけたときの木の肌の優しさ。生き物の気配がする。よく言う「木の温もり」ってまさにこれだなぁと思うわけだった。