水木しげるさんのこと

水木しげるさんは、熱烈なファンが多い方で、わたしもそうだ、と言いたいところだけれども、実は作品にはそんなに愛着を感じない。この辺、微妙なところなんだけども、もともとのわたしの中に素質として送られた好みのものではないんですね、彼が描く妖怪とかあれとかこれとか。そしたら嫌いかと聞かれたら、嫌いではないです。というか、ああいう、完成された世界を個人の好みで嫌いなどといえるだろうか。たまに漫画や画集などを買って眺めているとそのまま目が釘付けになってしまうんだけど、だからといって自分が元気がない時や何かを読みたい時にいちいち本棚から取り出すかというとそういうことはない。
でも、わたしは水木しげるのファンなのだ。これは断言できる。何にファンかというと、ご本人にです。だから今日のインタビューも見損ねてくやしいくやしいくやしい!!!!なのだ。だって、ほとんど一時間まるごと先生が出てお話される姿、しかもNHKだからいらん演出なし!純正のインタビューを見損ねたんだよー。しょぼ〜ん。
水木さんを初めてお見かけしたのはもうずいぶん前に「たけしのTVタックル」に出演されていた時だった。何の話題だったかも他の出演者が誰だったかも全て忘れたが、水木さんに心奪われた瞬間ははっきりと覚えている。
その時わたしは水木しげるという漫画家を当然、知っていたけれども、お顔は知らなかった。その日、TVタックルを途中から見たのでその人が水木しげるであると紹介されたところは見なかった。そして。たけしの横に座っているおじいさんが時々体を傾けながら無表情なんだけど力のある不思議な印象の顔で話を聞いているのを一目見たときに、なになに??このおじいさん、誰?? なんか惹かれる…。それはまさに一目ぼれの瞬間でした。その人は、一生懸命話を聞くと体が傾くらしい。奇矯な態度なんだけど、どうしても愛らしく見えてしまう。他の出演者に「先生、傾いてる」とつっこまれて、ちょっと表情を和らげたりする感じとか、話し出したときの声の調子、話し方、もう何もかもが愛らしくて、この人好きだ〜! と思った瞬間、かの有名な漫画家、水木しげるであると知った時の驚きたるや、さらに、好きに拍車がかかったのでした。
そんなわけで、作品はあまり読んでいないけれども、わたしは水木しげるファンなのだというお話。